〔インサイト〕金現物、下落=米FRBハト派色後退との受け止めで(28日)
2016年1月28日
【マニラ・ロイターES=時事】欧州時間28日朝方の金現物相場は、12週間ぶり高値水準から下落している。米連邦準備制度理事会(FRB)が26~27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、世界経済情勢の厳しさを認めたものの、今年の追加利上げを見送る可能性は低いことを示唆した後を受けた。 ハト派色が薄れたFRB声明は、ドル指数(ドルの対通貨バスケット相場)の押し上げに寄与し、一方で金相場を圧迫した。 金現物は0635GMT時点で1オンス当たり0.7%安の1117.64ドル。27日には昨年11月3日以来の高値となる1127.80ドルを付けていた。 FRB当局者らは米政策金利据え置きを決めた後で、「緩やか」に政策金利を引き上げていっても、米経済は適度に成長し、労働市場の改善は続くとの予想を示した。世界情勢への懸念が3月利上げの可能性を低下させたものの、消したわけではないことがうかがえる。 フィリップ・フューチャーズ(シンガポール)の投資アナリスト、ダニエル・アン氏は、最近の金相場上昇を受けて投資家が利益確定の売りを出していたと指摘。「安全な資産の逃避先という金塊の魅力はやや低下しつつあり、投資家は円など他の安全資産に目を向けていると思う」と述べた。 ただトレーダーらは、FRBがそれでも緩やかな利上げ方針を維持すると考えている。MKSグループのトレーダー、ジェームズ・ガーディナー氏は顧客に「FRBのコメントは期待されていたほどハト派的ではなかったが、今後の利上げがゆっくりとしたペースで緩やかなものになるとの観測が維持されていることは金を支援するだろう」と説明した。(了)
[時事通信社]
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